ザボエラ

・昨日のこと。
時折ワナを設置させてもらってる地域の農区長さんから、「近頃シカが毎晩のように通ってる場所があるのでワナを仕掛けて捕まえて欲しい」との連絡を頂きました。
ここ一週間ほど空振り続き、いい狩場も見つからない状況でしたので渡りに船とはこのこと。喜び勇んで行って参りました。
が。

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うーーぅぅん……
確かに交通量は半端ない。もっと近くに寄って見れば、真新しい足跡で埋め尽くされているかのよーな獣道です。間違いなく捕獲は可能なのですが。
問題は、ワナを据え付けられる箇所が写真の真ん中に写ってる木だけ。ここで捕まえても右側の水路(深さおよそ1.5m、木の根元のパイプの辺りで更に落ち込んでて2m弱)に落ちて吊り下がりますほぼ確実に。そうなってしまうと経過時間にもよりますが大概は死んでしまいますし、よしんば生きていてもモモや背ロースにダメージが入ってジビエとして使い物になりません。
捕殺が目的ならこーゆう所でも問題ないんですけれどぐぬぬ。

土手の向こう側は農道に降りて行っててその先は足跡が付いておらず追えません。
写真手前の方向は、耕作放棄田の中を突っ切って土手を上がり、もう一枚の放棄田を通って里山の斜面へ続いています。
そこを精査すればもっと適切な仕掛け場所が見付かるはずなのですが。
区長さん曰く、その辺には別の猟師さんがイノシシ狙いの檻を設置しているのであまり近付かないで欲しいとのこと(意訳:「ここで獲れ」)。

ジビエ猟師としては避けるべき場所ではありますが。
獣害に悩む地域の方々の一助となるのも猟師の務め。
そもそも地域の顔役でもある農区長さんの依頼をお断りするという選択肢は有り得ませんし、仕掛けるからには捕獲しないと沽券にかかわる。気合入れて取り掛かるしかありますまい。

・水路に落ちても吊り下がらないようワイヤーを長く取るという手もありますが。それだと上へ這い上がろうと足掻いて暴れて怪我したり、あるいは落ちずとも上で暴れて木に絡みついてワイヤーが短くなった挙句にやっぱり落ちて吊り下がる、となる可能性が高いですので却下。
これはもう、木から最短距離にワナを設置してワイヤーをぎりっぎりに短くして可動域を最小にして、後は落ちないことを祈るしかないですなもはや。

見回りの際は、もし掛かっていたら驚かせないよう刺激しないよう注意しないといけません。
懐中電灯は使えませんな。すっかり明るくなってから、車は遠くに停めて忍び寄ってなるべく遠くからこっそり確認、と。
まあそんな感じで。面倒くせえ。

・明けて今朝、上記の通りにワナを設置。あと他の現場でも幾つかワナを動かしたりあれやこれやで午前一杯を費やし、午後からは破損したワナの修理作業をしました。

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掛かったシカなどが暴れて木に絡みついてワイヤーがほぐれたりクセが付いて折れ曲がったり、或いは固定ネジが錆びて緩められなくなったりしたワナが手持ち15本中5本。3分の1が戦力外という体たらく。最近ワナの必要数が減っていたのでついサボって溜め込んでしまいました。

で。これらの修理がてら、鎌田スプリングの「Оリングばね」なる代物を新規投入してみた次第。

まずはモノの紹介。上のリンク先を参照して頂くのが手っ取り早くはありますが。
現物。2セット購入しました。
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サービス品は、ワイヤーをかしめる金具であるワイヤースリーブです。

Оリングばねを付けていないワナ。
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付けたワナ。
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もうちょっと同じ状態で撮影すればよかったですね。右の方、本来ならワイヤー同士が接触する部分に取り付けられていて、接触面積が小さくなっています。なっているんです。

・ワナ猟には「空弾き」という状況があります。要は、ワナが動作したにも関わらず獲物を捕まえられなかった状態のこと。
原因は色々あります。ざっと思い付くのは
1 獲物が踏板の中心ではなく外辺を踏んだ
2 獲物が駆け足で通り過ぎたり違和感を感じて足を引っ込めたりして掛からなかった
3 踏板やワイヤーが錆びたりクセが付いていたりして作動が遅かった
等々。

1については猟師のウデなり運なりの問題なので置いとくとして、2と3の場合、ワイヤーを素早く締め上げられれば回避できる可能性があります。

そこでОリングばね。
ワイヤー同士よりも接触面積が小さくなる
 → 摩擦が小さくなる
 → 締め付けスピードが速くなる
という塩梅。
そんな上手く行くのかよ、と疑問されるかも知れませんが、ひと足先に実戦投入している社長は絶賛していました。今年度の有害鳥獣駆除期間の間、このOリングばねを付けたワナでは空弾きが一回も起きなかったそうです。

とりあえず本日修理したワナ5本すべてにОリングばねを取り付けました。残りのワナについては追々に、ですね。壊れてもいないのにワイヤーぶっちんするのは気が引けます。
自分が違いを体感できるのはしばらく先ですねー。今週末から年末休みに入るので、今日のワナを設置するのは早くても年明け以降。
実績を積んで、レポートできるのは有害鳥獣駆除が始まる4月前後でしょーか。



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