・今日もいつもの足跡探し。なんとひと月近くもボウズが続いておりまして、これまでは暑さでシカが山から下りてこないと己に言い訳してきましたが、同様に不猟だった他の猟師さん達からボチボチ捕獲の連絡が再び入り始めてこのままではいけないと焦り始めた今日この頃。別にこの1ヶ月サボっていたワケではありませんが、より一層気合いを入れて取り掛かりました。

その甲斐あってか第一足跡発見。昨夕結構な雨が降って洗い流された後のアスファルト上に真新しい泥の足跡がついてましたよ。
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実はこのポイント、数年前からケモノの通行を認識だけはしていましたがワナを仕掛けた事はありませんでした。
なぜかというと上の写真、中央から少し右の所に銀色の弁当箱すなわちオリモの踏み板、その右上にピンクの測量テープが巻かれた木が小さく写っているのがお分かりでしょうか。分からなかったら写真がクソなだけですのでお気になさらず。とにかく仕掛けるとしたらオリモが置いてある場所で、ワナをくくるのに適当な木がテープを巻いたこの一本だけなのですが、この木が実はすっかり枯れてて押せばぐらんぐらん揺れるほど。例えバンビちゃんでも容易くへし折って逃げてしまうこと疑いありません。
(ちなみにこの右は結構な急斜面の小山ですので、その途中に設置して上手く掛かったとしても吊り下がって死ぬかボロボロになります。斜面を登り切ったら鬱蒼と生い茂る雑木と草に足跡が紛れて追いきれず、そもそも毎朝そこまで這い上がる根性ありませんし)

そんな理由でこれまで足跡を見るたびぐぬぬしてたんですが。どうして今まで気づかなかったのか今日突然、テープ巻いた木のすぐ隣のほっそい雑木数本が根元でくっ付いて(というか分岐してただけ)いるのを発見しました。ここにワナをくくったらイケるじゃーん?
ただそうすると次の問題は、いささか道に近すぎること。ワナに掛かった獲物が人や車が通行する道にはみ出してはいけない旨、狩猟読本にきっちり明記されています。けど写真の状態でワイヤーの長さは既にいっぱいいっぱいでこれ以上道路側には出て来ませんし、掛かったら木にぐるんぐるん絡まってもっと短くなるはず。ついでに言えば、この道って人も車も通ることがありません。
もうちょっと引いて撮影した図。
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もっと引けばよかった。ここは山裾を切り開いて作られた工業団地の未分譲スペースでして、写真の左はだだっ広い草原状態の空き区画になってます。で、この道は各区画同士の間および山との間に敷かれた道というかアスファルトで舗装された区切りスペースというか。そして左へカーブしているように見せかけて只のどんつき。突き当りです。
つまりは他の車なんて来るはずもなく。そして人里から1キロは離れた工業団地の片隅ゆえ通行人もなく。よって道のすぐそばでシカがワナに掛かってたところで誰に迷惑をかけることもありません。なのでイケるで工藤!

と・思ってたら。
雑木の根元にワイヤー巻き付けたあたりで不意に「こんにちわー」と声をかけられたものですから割と本気でビクゥッ!としつつ振り返ったら、なんだかハイカーっぽい恰好をしたハイカーみたいな二人連れがハイカーみたいに挨拶して下さりながらハイカーっぽく歩き去っていきました。あたかもハイカーのように。
ええー…マジか。ここを人が通ることなんてあったんだぁ…
2枚目の写真、電柱の左の木の左でちょこっと草がヘコんでる箇所があるでしょう。実はその先は丸太を横に並べて土留めして階段になってる感じな遊歩道になってます。正確には遊歩道「跡」。どうやらこの工業団地が造成されたときに周囲を巡るウォーキングコースが併設されたそうで、それを示す案内板やら丸太の土留めやら手すりやらが朽ちかけつつも所々で見かけます。それを辿ってらっしゃる様子。マジかー。

・人通りがあるのなら、ここにワナを仕掛けるのは控えるべきか…?
シカならともかくイノシシが掛かって、しかも足なりワイヤーなりを切って通行人に襲い掛かったら大変です。ていうかシカが掛かってても普通の人はドン引きですし。もしくは犬の散歩とかさせてて犬が誤ってワナに掛かってケガとかしても一大事。たとえ何事も無くても、鑑札フダを見られて道の傍にワナが仕掛けてあると通報されるだけでヘタをすると有害駆除の資格取り消し、或いは狩猟免許の剥奪までいくかも知れない、かも?

なーんて、いやまあ流石に考えすぎかと。
獲物が掛かった時に偶々ハイカーなり散歩の人なりが通りかかるなんてまずないですし。ワナを稼働させてるときは毎朝見回って、掛かったら8時過ぎには(色々)片付けますから見られる可能性はさらに減。鑑札フダも葉っぱの陰に入れるとかしてぱっと見で判り難くしとけばいいかなって。オッケオッケ。
そんな感じに判断を下して踏み板を埋める穴を掘り始めたところで、ハタと気付いて手を止めました。ああこれが、こないだ某まとめサイトで知ったばかりの「正常性バイアス」ってやつかあ…と。

正常性バイアス。心理学用語のひとつ。めっちゃざっくり乱暴にかいつまんでまとめていうと、
「見え見えの危険や失敗に気付くことが出来ないこと」
ではなく。
「危険や失敗を予見しながら「自分は大丈夫」と根拠なく信じて地獄を見ること」。
痛痛痛痛痛痛。
我が人生に心当たりがありすぎて耳が痛いことこの上ないです。あたかも耳にバナナが突き刺さったかのような。
実際には心理的安定や精神的健康のために必要な心の作用とのことですが、だからといって自分を甘やかしてはいけない。大体こーゆう時に限ってマズい結果になるんです。いわゆるマーフィーの法則ですね。事態は常に最悪の結果を迎える。
いっとき流行りましたねー、マーフィーの法則。確か僕が中高生の時分でしたから、7,8年くらい前でしたでしょーか。ちょっとググってみましたら90…年代…?くっ、目にゴミが。

とにかくそーいった次第でせっかく見つけたポイントですけどやむなく撤退。ぐぬぬ。あと10分早くここに来てたらハイカーさん達に出会わず仕事を終えて移動していたのにとか不埒なことは考えてます。いや間違えた考えてません。きっとこれで良かったんや(血涙)。




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